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環境性に優れる亜麻栽培

リネン 植物由来の素晴らしい素材

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ノルマンディー地方の亜麻の繊維。柔らかい金色の光を放つ。まさにクロード・ドビュッシーの曲のタイトル「亜麻色の髪の乙女」のごとく。左:素繊維 右:梳いた後の亜麻繊維

環境性に優れる亜麻栽培

亜麻は太古から栽培されてきました。亜麻の繊維から糸を紡ぎ、布が織られ衣が縫われます。温暖な地域で亜麻(Linium usitalissium)が生育します。今日、繊維型亜麻の世界的主要産地はヨーロッパ、中でもフランスは最大の生産国。フランスの南ノルマンディー地方から北フランスの海岸沿いの地域にかけてたいへん良質な細い繊維が採取されます。

湿気のある海洋性気候、高くなりすぎない気温、空気の混ざりやすい柔らかな土壌など、この地域には亜麻に適した自然条件が揃っています。また、肥料や殺虫剤を最小限にとどめ、6、7年ごとの輪作を施すことにより寄生虫の繁殖と土壌の疲弊をおさえるなど環境を尊重した栽培が行われています。水の供給については灌漑の必要はなく雨水でまかなえます。水不足は最大の環境問題の一つであることから大きな利点と言えましょう。

亜麻の繊維の長さは約20 cmから60 cm(ヘンプや綿はそれぞれ約5 cmと2 cm)。麦や米の収穫は茎の下部を刈り取りますが、亜麻はできるだけ長い繊維を得るために根元から引き抜きます。

rouissage

収穫の後はルイサージュ(rouissage)が行われます。ルイサージュとは藁の表皮と中心の木質部との間にある繊維を分離する工程です。いくつかの方法がありますが、フランス北部では、藁の茎を畑に4〜5週間ねかせて雨や霜、風の力とバクテリアの自然の作用により繊維を分離させます。

繊維

自然の作物のため、亜麻の繊維の色や太さは地域や各農家の栽培処理方法、また年ごとに変化します。亜麻の繊維は長繊維としては真っ直ぐであるもののところどころに曲がりがあり、そうした節が布の中に織り込まれて一枚一枚の衣に固有の模様が生み出されるのです。

リネン 植物由来の素晴らしい素材

リネン布

やさしい光沢を放つリネンの布 亜麻繊維の自然な模様が織り込まれています

袖を通した瞬間、皮膚に心地よさがひろがるリネンのシャツやブラウス。一般的に植物由来の繊維で作られる素材は快適ですね。その中でもリネンは格別といえるでしょう。

理由の一つに、水分を素早く吸収しかつ発散させるリネンの力をあげられます。綿は水分をよく吸収しますが長い間滞留させます。リネンシャツの上で汗が早く乾くのは、このリネンの水分調整機能によるものです。また生地に張りがあり肌に張りつきにくいことも快適さの要因でしょう。夏場にリネンが軽やかで爽やかなのはこうした特徴によります。

ところでリネンは夏物と思われやすいようですが、冬に暖かいことをご存知でしょうか。リネンは触れた瞬間ひんやりするもののすぐ体温に馴染みます。ジャケットやセーターを上に着ることにより、リネンシャツと皮膚の間の空気が心地よい温度になります。通気性が保たれるため、寒い季節に重ね着をしても皮膚が呼吸できるのはとてもうれしいものです。

さらにリネンには洗いに強いという利点があります。頻繁に着るシャツやブラウスには大切な要素ですね。天然素材のリネンは着込んで洗うほどに風合いが増し、穴があいてもずっと着続けたくなります。

私たちの皮膚は直接触れる環境にとても敏感です。皮膚の感覚は脳に直結しており、そのまま気分に影響します。肌が「しあわせ」なら心が落ち着く。肌が「不満」だと精神が乱される。

シャツやブラウスの素材選びは
一日を心身ともに心地よく過ごすためにとても大切です。